歯を１本失ったとき、その両隣に歯があればブリッジができます。しかし、片側に歯がなければブリッジはできません。（延長ブリッジという方法はありますが、リスクが高く、限られた条件の時しかお勧めできません。）１番奥の歯を失ったときがそれにあたります。そこにインプラントを入れるのは、インプラント自体にも負担がかかりますが、他の歯を守るために有効です。

１番奥の歯を失っただけの時はそれほど不都合はない時もあり、失ったままにしておく場合もあります。しかし、その場合奥から２番目の歯にかかる負担は増え、やがてそれを失うリスクは上がります。奥歯２本を失うと明らかに食事はしにくくなります。そして、次に奥から３番目の歯を失うのはもっと早くなります。かみ合わせのバランスがくずれ、顎がずれて顔も曲がっていきます。奥歯２本を失ったときはインプラントが最適だと思います。

歯を１本失ったとき、両隣の歯がすでにかぶせ物になっているときは、新たに歯を大量に削らなくてもブリッジができます。（すでにかぶせ物をかぶせて時間がたっている場合、たいていは神経をとってありますから、歯が弱くなっているというリスクはあります。）

両隣の歯があまり削っていない良い状態の時、ブリッジをするために大きく削るのはもったいないと思う方はインプラントが適しています。

１番奥の歯はあるけど、奥から２，３，４番目の歯を失ったときは保険でブリッジはできません。ブリッジの支えになる歯に負担がかかりすぎて長くもたないと考えられるからです。

また、奥から２，３番目の歯を２本失ったときは無理なくブリッジができることも多いですが、両隣の歯が歯周病で弱っていたり、咬む力が強かったりするとやはり負担がかかりすぎて支えになる歯が長くもたない場合があります。

いずれもインプラントによって残っている歯に負担をかけず守ることができます。

写真のように多数の歯を失っている場合、保険治療では部分義歯（入れ歯）しかできない場合が多くなってきます。歯科治療で一番満足できないのが義歯だと思います。義歯を入れて初めて歯をだいじにしておくべきだったと後悔する方は今でも多いのではないでしょうか。

多数の歯を失った方のなかには、インプラントを入れても長く持たない方もおられますが、逆に義歯でなくインプラントにしたおかげで自分の歯と同様にしっかり食べられるという方も多数おられます。

ただし、多数のインプラントをご希望の方は、なぜ多数の歯を失ったかを考え、残っている歯とインプラントをだいじにする努力をしていく決心が必要です。